ヤマガラの集団移動

 4月に発見した、右足にアルミ製足環をつけた3羽のヤマガラは、約一か月で見なくなりました、というか、ここには飛来しなくなりました。その後、産毛のヒナたちがシーシーとにぎやかだったのですが、その子たちも家人がたった三日間留守をしている間に、どこかへ移動してしまったようです。そして今いる子たちは、どこから来たのかわかりませんが、とても人懐こく、人見知りもせず、だれにも愛嬌をふりまく数羽ですが、いつまでいてくれるかわかりません。今年はじめて、わずか半年の間にヤマガラが3グループも入れ替わっていることに気づきました。シジュウカラのように、個体別に形が異なるネクタイのないヤマガラは、あの子とこの子の区別がなかなかつきません。目を見てきいても、うまく答えてくれません。
 あちらもきっと、この人たちって、どこから来て? 、どういう人たちなのか? 知らないと思いますが、まあ、知りたいとも思っていないようです。それは、目を見ればなんとなくわかります。留鳥でも移動しているので、さまざまな地域の人間に慣れていて、「あえて出自にはこだわらないよ」、そんな目をしています。 
 
 次回のごはん会は、10月18日(日)午後6時からです。前日までにお申し込みください。
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お伝えしたいこと

 よりもよって、安保法案のせっぱ詰まったこの時期に、10年ぶりに拙訳の刊行となりました。ぜひともお読みください。
ネットでも購入できます! 福音館書店刊行 「ぼくたちに翼があったころ」タミ・シェムートヴ作  樋口範子訳
福音館書店、およびアマゾンでもセブンネットでも、楽天でも窓口があります。
 岡本よしろうさんというお若い画家さんが、1930年代のワルシャワの街をみごとに再現して表紙絵にしてくださいました。わたしは、お願いするのが苦手ですが、この際、何もかもふりきってお願いします! というのは、この二年間、マスターの協力あってこその刊行となったからです。森の生き物たちにも、ありがとうと伝えたいです。久々の優れた原作に出会って丸二年半、ようやく、この日を迎えることができました。今から80年前のワルシャワの子どもたちに、みなさん、ぜひとも出会ってください。お願いします!

                  りすママ

秘境を訪ねて

 夏の社員ご苦労さん会で、山梨県の早川町奈良田という山深い地を訪ねました。以前日帰りで、雨畑(あめはた)と湯島の湯(ゆしまのゆ)までは行ったのですが、夕暮れ迫る中、その先はあきらめて山道を下りました。
 今回は、89歳の母を連れての二泊の旅、山に囲まれて、ゆっくり過ごすことができました。昭和28年から東京や横浜への電力供給のための水力発電ダム建設がはじまり、昭和34年には奈良田集落はダムの底に沈んで、暮らしは現在地に移転しました。ダム建設はその後もつづき、現在では渓流沿いにいくつも造られ、そのために林道が整備されて、ゴールドラッシュの相乗もあり、一時は下流地域に娯楽施設や歓楽街があったと言われています。さまざまな流転の果てに、今は過疎化がすすみ、またダム建設の後遺症で土砂災害に見舞われ、山肌が痛々しく崩落していました。
 奈良田に伝わっていた焼畑農業も昭和30年代で途絶え、都会からオフロード車や温泉客が押し寄せたりして、それまでの文化維持が危うくなり、自然界ではカモシカに替わって日本鹿の数が激増、日本ミツバチが激減して、生態系の大きな変化が顕著にあらわれているとうかがいました。〈ユネスコのエコパーク認定〉という看板が、なんだか場違いに立っていて、観光客のひとりである自分も、複雑な思いで下山しました。真っ暗な山間に宿泊して、都会の暮らしは、あれはいったい何なんだ? と、あらためて身震いが出ました。「気がついてからでは、もうおそい」宿のご主人が、真剣におっしゃった言葉が、重く心に沈んだままです。
 新潮クレストシリーズの、「メモリーウォール」の中の短編「113号村」、アンソニー・ドーアという若い作家の珠玉の作品を思い出し、おそらく世界中にあるこうした人間のエゴにまつわる闘いが身に沁みます。場面は中国ですが、ダムに沈む村と種屋の母子を描いた、実にすぐれた作品で、岩本正恵さんの訳も絶品です。この短編集には、ほかにも「ネムナス川」「非武装地帯」など、素晴らしい作品があり、今年のわたしの一押しでもあります。
 でも、作品で感動したり、旅先で考えさせられたりするだけでは、単なるずるい現代人にすぎませんね。と、また考えます。どうすればいいのでしょう?
 
今月のごはん会は、一五夜の27日(日)午後6時からです。前日までにお申し込みください。

 

                           りすママ
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