雪窓

 大好きな安房直子さんの作品に、「雪窓」という可笑しくてせつない物語があります。屋台のおでん屋さんが舞台で、そこに集う可笑しなお客さんとの短い話です。
 ずっと「雪窓」は、「ゆきまど」だと思っておりましたが、軽井沢近くの御代田町にある湖が「せっそうこ」と読むことを知り、もしかして、「せっそう」が正しいのかもしれないと思いはじめました。どなたか、屋台のおでん屋さんの正しい名称をご存じの方、お知らせください。でも、個人的には、「せっそう」というより、「ゆきまど」というおでん屋さんの方が、美味しそうな感じがしてなりません。
 拙店が春の開店を迎え、すでに「雪窓」が二回もありました。つまり、店のガラス窓に真っ白な雪の森が広がる朝が、二回もあったということです。
 美しい窓、それが雪窓です。
 朝一番にこういう美しさに出会うと、きょうはもう、これでじゅうぶんだなと短絡的に思ってしまうほど、満たされた心境になります。
 昨朝もそうでした。春の雪ですので、数時間後にはすっかり土色になってしまうのですが、それでも束の間の雪窓に魅せられて、その感動が午後までつづきました。
 「雪窓」という名の屋台をひいた主人公の足どりが自分にも伝わってきて、店をひいて山道を歩くのもいいかもしれないと、ふと思った夕暮れでした。

4月のごはん会は、仲間展の搬出をかねて、4月10日(日)午後6時からです。前日までに申し込みをお願いします。

                              りすママ
 
 
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静寂という音

 わたしは2歳から17歳までを、新宿区内の団地で暮らしたのですが、となりは消防署、目の前は伝染病院という自動車道路に面した場所で、野山や小川や田んぼには全く縁のない育ち方をしました。田舎もありませんでしたが、ときおり杉並や吉祥寺の親戚の家に行くと、なんとも静かで、というか不気味で、夜はひとりでトイレにも行かれず、静かすぎて眠れませんでした。イトコ連中から、「あんたは、新宿の子どもだから」などと、からかわれたものです。昭和30年代の消防署といっても、夜中に消防自動車や救急車の出動が何回もあり、常にそうした街の音の中で暮らすのが当たり前になっていました。
 18歳の時、家族と離れてイスラエルの集団農場キブツで暮らし始め、その2年間をきっかけに、今度はぎゃくに街の音の中では暮らせなくなって、現在にいたります。あのころのキブツでは、毎晩カエルの合唱が聞こえていました。
 今は、静まり返った森の中で、葉や枝のすれあう音や、さまざまな小動物の啼き声、雨音、風音をききながら眠りにつき、実は静寂には、樹木の呼吸ともいえる森の音があることに気づきました。そんな中で、深く眠れるのは、なんと幸せなことでしょう。ときおり、夜中の一時ころにフクロウの啼き声が聞こえるのですが、まるで仲間の呼び声のように、わたしには聞こえます。初夏に啼くホトトギスには、いささか安眠を妨害されますが、それも真夏になれば、気にもならなくなります。
 音があるのに音がない、音がないのに音がある、耳もまた静寂をききわけて、ぜいたくに作動するようになりました。


                     りすママ


 

冬の旅

 拙店、1月4日から約70日間の冬眠中、店の者はいつもバックパッカーになって二週間前後の旅をするのですが、今年は諸事情でどこへも出かけませんでした、というか出かけられませんでした。恨めしい、悔しい、ああどこかに行きたいなあと、叶わぬことをぶつぶつ言いながら、結局は今までの旅の思い出話ばかりを繰り返して、冬休みが終わってしまいそうです。
 大雪に見舞われなかったのは幸いでしたが、大好きなソリ遊びもたったの一回で、これもなんだか心のこりです。
 ほぼ毎日、読書三昧だったのですが、それはそれでぜいたくな時間をすごすことができました。夫婦それぞれの部屋で、読書に夢中になっていたら、すっかり日が暮れていたことが何回もありました。
 母のサポートで上京する際の高速バスの中でも、苦手な宇宙ものから、海洋生物もの、旧約聖書もの、ファンタジーと実にさまざまな世界に触れ、これはじっさいの旅以上の見聞だったと、思いがけない収穫におどろく昨今です。
 本の世界を旅する、こういう旅もあったのだと、あらためてその魅力に気づいていますが、おかげで家中ホコリだらけになってしまい、これからいよいよ春の大掃除にかからなくてはなりません。と、散らかった本を片づけようとして、またページをめくってしまいそうです。
 まだまだ終わりそうにない、今までで一番長い冬の旅。


 3月19日の春の開店で、今年もまた恒例の〈仲間展〉を催します。展示のみの手づくり作品を募集しますので、おもちください。
郵送でも構いませんし、玄関は365日開いていますので、記名なさって置いてくださってもオウケイです。

〒401-0502 山梨県南都留郡山中湖村平野1698  森の喫茶室あみん
     電話 0555-65-7023

                                 りすママ
 
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