雪原の足跡物語

 山麓探偵団の朝は、なんとマイナス16度でした。でも、だれひとりキャンセルなしで、伊藤浩美団長以下10名は、須走り登山口からあざみラインを馬返しまで、スノウシューで歩きました。ゆううつな起床時とは裏腹、なんて楽しい! そして愉快! な道中。気温が低いので、雪上に肉眼で見える雪の結晶。みんなで、「ここにも雪印、あそこにも雪印」などと、その美しさに感嘆の声をあげました。空には、めずらしい彩雲が何度もあらわれます。
 もちろん新雪で、しーんと静まり返った雪原には、ウサギ、シカ、ネズミ、テンなどの足跡がいろんな方向に交差しています。爪や肉球の形で、動物たちのうしろ前がわかります。ネズミは、しっぽまでも雪上にひきずるので、どちらに向かっていたのかがわかるのです。
 動物たちにとって、足跡を残すのは身の危険が高まることなので、できるだけ小さく、目立たないように工夫するといいます。
 二本の木のあいだに、明らかに往復したとみられる一匹のネズミの足跡。どちらが往路なのか復路なのかわかりませんが、一方が他方より小刻みなのです。つまり、なにかを期待して早足で行ったけど、たいした収穫もなく、がっかりしてもどったのか、それとも、無心で出かけていったら、なにかいいことがあって、喜び勇んで、ジャンプしてもどってきたのか。考えるだけで、わくわくします。
 伊藤団長の解説によると、木に登れるネズミは、ヒメネズミだけで、アカネズミは登れないということです。ということは、木の根元で消えているネズミはヒメで、木に登って降りて、そしてもどったのでしょう。
 ウサギの足跡は、まだ新しく、その辺りでわたしたちをのぞいているかもしれません。逃げるだけの人生(?)というウサギは、なにをしに森をぬけたのでしょう? 近くに他の足跡がないので、少なくともその時点では追われてはいませんでしたね。
 雪原の真ん中を横断したシカは、団体さんだったようです。足跡は、けっして同時刻に刻まれたわけではないので、動物たちがそれぞれの時間、それぞれの理由で、その場所を通ったのでしょうが、そのそれぞれの物語が多様に想像できて、自ずと頬がゆるむ、じつに豊かな一日でした。
 午前10時半から午後3時半までの5時間、雪の中にいたわたしたちは、ほとんど寒さを感じませんでした。なのに、須走りの道の駅にもどったら、きゅうに寒くなって笑い合いました。
 寒さを感じるとは、いったい何が感知するのでしょう?
 あれから一週間たち、今朝もマイナス17度で、起床は超困難。今ごろ、あの雪原で、わたしたち10名のスノウシューの足跡をめぐって、動物たちがさまざまな推測をしているとしたら、まずは危険度ゼロだと、それだけはわかってほしいと望んでいます。人間10名で歩いた理由は・・・・森の動物たちの6感で感知しても、たぶん・・・・不明・・・・でしょうねえ。

                                  りすママ
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