初雪は

初雪は
だまって、ただただ、降っています
降っているというより、落ちているといった方が
ぴったりかもしれませんが、
ただただ、空から無言で降っています
これを、しんしん と表現した先人に、思わず憧れます
無言が一番怖いです
しんしんは つまり無言ですね
音のない情景を言葉に表す
降る雪も きっと どきっとしたと思います
どきっとしたけど 知らん顔して無言で降る
雪もさすが、たいしたものだと 憧れます

 12月8日   りすママ


冬の足音

 紅葉がすっかり枯れ葉となって散り、広葉樹の多くが寒々しい姿をさらす季節になりました。隣の家の幼い兄弟たち(7歳、4歳、2歳)が、朝から外遊びをしています。みんな男の子で、笑い声こそ聞こえますが、泣き声は聞こえません。走ったり、転んだり、自転車をこいだり、すでに数時間ずっと彼らの楽しそうな声が響いています。
 今から37年前、この兄弟の父親であるT君5歳と、うちの次男5歳が、やはり同じようにこの道で遊んでいたのを思い出し、いたく懐かしく、胸がいっぱいになります。袋小路なので交通量がなく、適当に坂や広場につづくので、格好の遊び場所です。放っておいても声が聞こえるので、ふたりの母親たちは安心でした。T君のその母親は、孫の顔を見ずに48歳で病気で亡くなってしまい、今となっては、わたしが彼女の分まで、子どもたちの声に耳をすましているわけで、それもまた感慨深いものがあります。
 都会ではないし、村の中心から外れているので、この周辺の景観は、37年たっても、そんなに変ってはいません。ここから見る山中湖の湖面も、富士の姿もまったく同じです。年月が感じられるのは、同じ家に暮らす人々の代替わりで、冬の足音とともに、身に染みるようになりました。
 昔のお年寄りたちも、おそらく同じようにそれを感じていたのでしょうが、わたしには、彼らが当たり前に淡々と、身に染みることなく年を重ねていたようにしか思えませんでした。まあ、隣の家の幼い兄弟たちにしても、今のわたしたちは〈となりのじいじ〉〈となりのばあば〉そのものなので、きっと30年くらいたてば、彼らはふりかえって何かを思うかもしれませんが。

  次回のごはん会は、来年1月4日(木)昼の12時からです。

                              りすママ

枯れ葉舞う夕ぐれに

 晩秋の突風に、色づいた葉が舞って、それはそれは、まるでフランシス・レイの世界のようです。ただそこに、イヴ・モンタンやキャンディス・バーゲン、ジャック・ニコルソンやヘレン・ハント、ミア・ファロウのような、意味ありげな渋い男女がいないだけが残念ですが、夕ぐれの森はほんとうにきれいです。
 陽が落ちて、夕食の支度をしているとき、薪ストーブの煙を外に出そうと窓を開けましたら、偶然目の前にムササビの滑空を見ました。それも、数秒差で二匹の滑空です。どちらもシルエットで、左右の森に着地したようです。いつものウロには帰巣しませんが、同じ森のどこかで、こうして日の入り後にはエサである葉をもとめて、滑空を繰り返していると思われます。冬になると、日の入り後はついつい窓を閉めてしまい、夜行性小動物の動きに縁遠くなりますが、勤勉な彼らはいつもと同じ行動をしている、すごいなと改めて思います。野生の尊さを感じます。でも、ちっともロマンチックではありません。
 地面にクルミを埋め終わったリスたちは、枯れ枝を走り回り、ときおり、すでに5カ月も空っぽのムササビのウロで昼寝なんかしています。チャーミングで滑稽です。でも、ロマンチックではありません。
 ロマンチックって、いったい何がどうなのか? 非現実的で、空想的なのがその意味だとすると、動物たちの暮らしは、あまりに現実的で、生態系からはみ出ることがありません。ロマンチックであるはずがない、そのとおり、納得しました。
 そして初老のわたしたちも、ルーティーンをこなすことに必死で、現実の中にどっぷりつかっています。この世的な希望はあっても、空想を夢見ることはなくなりました。 やっぱりね、ロマンチックであるはずがない、そのとおり、納得しました。
 突風に舞う枯れ葉だけが、なぜか? どうしてか? ロマンチックなのは、ただそこに昔観た映画の一シーンと俳優たちが重なって見えるからなんですね。映画も俳優も虚構なのに、こうして何十年も騙されたままでいる、思わず笑ってしまいました。
 
                      りすママ
 

紅葉情報

 長雨がつづきますが、紅葉は確実にすすんでいます。
拙店の周辺は黄色が主ですが、旭日丘の紅葉祭りの辺りは、大木のケヤキやカエデがあめ色に染まりはじめています。天候さえ回復すれば、遊歩道の散策ができますので、11月上旬までにぜひとも足をお運びください。
 河口湖畔は、山中湖畔とは違って、紅葉祭りを外れた場所に、イイ見どころがありますので、西湖方面に車を走らせてみてください。
湖畔沿いに美しいカエデ並木があって、少数のカメラマンが夢中で撮影しています。

11月のごはん会は、11月19日(日)午後6時からですので、前日までにお申し込みください。

                    りすママ

今年3度目の樹海歩き

 山麓探偵団活動で、今年3度目の樹海へと向かいました。参加者10人のうち、雨女が2人もいたのに、当日は朝から快晴。
樹海内の〈武田信玄最前線史跡〉と看板が出ている地点から城山に登り、竜ヶ岳を真ん前に、そしてキラキラ輝く本栖湖を眼下に、のろし台にまで足を延ばし、下山後は国道139号線を横断して、西暦1550年ごろに造られたという2キロにわたる石塁(溶岩の防壁)を見学しました。はじめて樹海に入ってから20年以上もたつのに、こういう史跡を目にしたのははじめてで、その苔むした石積みの美しさに、しばし見とれました。
 今から約470年前に、駿河の国から甲斐の国への侵入を防ぐ最前線防壁を造り、それを守った人々を思いばかる一日でした。
 戦国ブームといわれる昨今ですが、観光客や登山客にはだれひとり会わず、静かにたたずむ史跡の足元も全く荒れていず、慰められました。今後もこの静寂が守られるよう、だれにも教えたくないね、と口々に言い合って別れましたが、ほんのちょっとだけ、ここで言いたくなってしまいました。

                  りすママ
 
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